こうちゃん


出典元:エッチな萌える体験談

なおぼんの告白です。

あたしは、変わったのかもしれないし、もともとこんな女だったのかもしれない。
他人からすれば「変わった」と見えるのだろう。
あたし自身は隠していたものを顕(あら)わにしただけだ。

たぶん、あの日から。
だんながあたしの身勝手のせいで、脳出血で倒れ、一命を取り留めて、百八十日にもおよぶ懸命のリハビリをやってのけて家に帰ってきたときから。

うれしかった。
でも、もう抱いてもらえないという空虚感が芽生えた。
彼は、右側の片麻痺で車椅子と寝たきりの生活を余儀なくされた。
言語障害とともに、少し認知機能にも障害をきたしていた。(現在はかなり回復した)
つまり、もう元の彼ではないのだ。

女にとって、愛する男に抱いてもらえないというのはこんなに辛いものなのだろうか。
子供でもいれば、状況は違っただろう。

一年ほど、介護に専念し、忙しく過ごしたけれど、ふとした拍子にさみしさがこみ上げる。
身勝手なのはわかっているけれど、そういう性格なのだ。

あたしは、出会い系サイトに登録した。
割り切りでもいいから男に抱かれたかった。
五十前だったから最後のチャンスでもあった。

けっこう、会ってほしいという男性がいて、売り手市場ではあった。
お金をもらって男と寝るということに、いささかの抵抗も感じなかった。
彼らも、さみしいのだ。
商売女ではないあたしが彼らにできることといったら、世間話と悩みを聞いてあげること。
なかには、変態的な嗜好の持ち主や、命令口調で支配的な勘違い男もいたけれど、おおむね、優しくって、どこか後ろめたさを隠していて、同じ傷を舐めあうような関係を持てた。

そんな中で、今も続いている男がひとりだけいる。
彼との関係はたかだか半年ほどしかならないが、ほかの男にはない魅力があった。
月に一回、だんなが施設に行って、あたしのパートも休みの昼間に逢瀬を重ねている。
初対面のときは、四十代半ばか前半ぐらいのカジュアルな人で、明らかにあたしよりは年下に見えた。
サイトのプロフ(プロフィール)には四十代としか書いていなかった。
話していくと、それは「サバを読んで」いたわけで、お互い様なんだけど、同い年だったのには笑った。
彼は、ハンドル名が「こうちゃん」だった。
あたしが「なおぼん」。
ベッドでもそう呼び合った。
こうちゃんは、結婚しているけどセックスレスで、奥さんは精神病だという。
詳しいことは、聞かないからわからない。
だから、こんなあたしを激しく抱いてくれる。
あたしもそれに応えてあげる。

男女が肉体を重ねることで癒されることってあると思う。
温泉みたいなもんだ。
運動にもなるし。

あたし、生理が上がってから、飲み友達の婦人科の医者にホルモン治療をしてもらっている。
だからか、とても性欲が強い。
年齢より若く見えるのもそのせいだと、医者は笑って言う。

ほかの男性には「中出し」を許さなかったけれど、こうちゃんには思いっきり出してもらっている。
やっぱり、好きな男に出されると、なにか、こう、体の芯に活が入るような気がする。

こうちゃんと出会ってから、あたらしく出会いを求めることはなくなった。
彼もそうだという。

どちらからともなく、メールで「会いたい」と送れば、すぐ会えるライトな関係。
セフレというものでもない。(限りなく近いが)

月に一度の逢瀬で、あたしは生きていける。
かえって、だんなにつらく当たることもなくなり、一層、仲良くなれた。
介護生活にハリがでてきた。

でも、このことは墓場まで持っていくべき秘密だ。
だんなには、ぜったい言えない。
「ごめんね・・・」
おむつを替えながら、心で詫びる毎日だ。

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